登記があっても土地所有権を主張できない場合
「A市が長らく県道として使用していた土地は,
もともと個人名義の土地でしたが,
このたび県が時効取得しました。
しかし,その後,
この土地を道路として使用するのに反対する人が現れました。
当初は,その人の代理人という団体が
当市に意見を述べてきましたが,
今ではその団体が土地名義人から不動産を買ったとして,
県道としての使用を認めない,
道路を封鎖するなどと言っています。
この土地自体は4坪しかなく,
それだけでは使い道もない土地です。
その団体に所有権の登記がありますが,
当市の主張は認められるでしょうか」
不動産は価値が高い財産ですから,
所有権を明確にするため,
登記制度があります。
基本的に登記名義人が所有者となります。
ですから,不動産を所有すべき人が2人いても,
先に登記をした人が勝つ事になります。
しかし,
不動産取引に不当に関与して利益を得ようとしたり,
不当な目的で登記をした人は,
登記があっても所有者と認められません。
これを
「背信的悪意者」
といいます。
単に不動産が二重に売却されていたことを知っても,
他方の取引に利害関係がなく,
不動産を適切に所有する意思がある場合には,
後から不動産を購入しても,
登記を先に備えれば勝つ事ができます。
冒頭の事例は,
実際に起きた事例ですが,
時効により取得した後に,
それを知った上で,
後から登記した人の主張が認められなかった事案です。
・最初は代理人と名乗っていた。
・しかし、途中で所有者と名乗るようになった。
・4坪しかなく、それだけでは利用価値がない。
・道路の真ん中にあり、具体的な利用計画もない。
これらの事情から,背信的悪意者が認められました。
大変珍しいケースですが,
不動産取引について法律の柔軟性
が見られた良い例です。
不動産に関するご相談も多くいただいております。
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