遺言書には,その方の財産の処理方法について自由な意思を書くことができます。

 

 それでは,たとえば自分の財産を社会福祉のために役立てたいと思っている方が,「私の全ての財産は福祉のために使ってください」という遺言を書くとどうなるでしょうか。

 

 この言葉は,その方のお気持ちを素直に表したものですが,遺言としては,効果はありません。遺言というのは,「誰に何を与えるか」を記載するものですが,この文言だとそれが分かりません。ということは,この遺言書は,その方の希望を記載しただけで法的な効力はなく,通常の相続と同じ効果しかありません。たとえば,子どもが普通に財産を相続することになりますが,親の気持ちを無視して福祉にお金を使わないこともできてしまうのです。

 

 もし,福祉のためにお金を使うことを遺言で残したいのであれば,「●●福祉法人へ全ての財産を遺贈する」というような明確な記載にしなければなりません。

 

 遺言書の記載は必ず専門家と相談して決めるようにしましょう。

 

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投稿者: 野澤・中野法律事務所