残業代があるのに,放棄するという文書にサインをしてしまった場合
「私の会社では残業代が支払われていません。同僚がもらっている形跡がなく,こんなものかと思って過ごしていましたが,このたび会社を退職することになり,申し入れたところ,この書面にサインしないと辞めさせられないと言われて,有無を言わさず,退職後は何のお金も請求しないという書面にサインさせられました。私はもう残業代を請求できませんか?」
労働者というのは,どうしても会社に比べて弱い立場にいるので,会社の指示に逆らうことは簡単にはできません。
それなのに,会社の指示に逆らえずサインしたものが,全て正しいということになると,公平ではありません。
このような事情は裁判所もよく分かっています。
裁判所は,あなたがサインしたのが,「本当にあなたの意思だったのか」を細かく見てくれます。
例えば,何人に言われて書いたのか。
いつ,どこで言われたのか。
どのような言い方だったのか。
書面の内容は分かりやすいか。
書面の内容を口頭で説明してくれたか。
会社から残業代についてどのような説明をされていたか。
あなたに残業代を諦める理由はあったか。
このほかにも様々な事情があると思いますが,このような事情を全て見て,それでも「あなたの本当の意思だった」と考えられれば,その書面は有効となります。
会社から,書面にサインをしろと言われても,必ずその場ではサインせず,一度持ち帰る。
これが鉄則です。
ですが,もし,何らかの事情でその場でサインせざるを得なかったとしても,それであなたの正当な訴えを諦める必要はありません。
サインをしてしまったとしても,必ずそのあとに弁護士野澤にご相談ください。
多くの労働案件をこなしている経験から,最適なアドバイスをさせていただきます。
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